「奇想のモード~装うことへの狂気、またはシュルレアリスム」展@東京都庭園美術館(2022年3月5日)

 東京都庭園美術館で、モードに関してシュルレアリスム作品を観る。これは第一報を聞いたときからもうすごく楽しみにしてきた。4月10日までということで、そろそろ行っとくか!ということで晴れた土曜の午前中に来訪。いまは庭園には入れないのが残念。

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 この美術館自体がアール・デコの傑作。エントランスのラリック。

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 最初に「髪」というテーマで、人毛に近いアフリカ発のエスニックな素材の側面+遺品としての毛髪の「生きた身体」だった一部という感覚への注目は刺激的。チラシ掲載のヤン・ファーブルが使った「玉虫の羽」の甲冑も、色は鮮やかで美しいが「死体」感が強くてやっぱり怖い。まぁだったら「動物の毛皮」はなんで大丈夫なの?という線引きの不思議はある。とりあえず人間の髪はモノなのか身体なのか、この異様さを好んで使ったマグリット、エルンスト、ダリあたりの絵画作品も並べたかった。なお模造でも虫のアクセサリーは個人的に無理(申し訳ない…)。ナメ〇ジや苔などを帽子になまなましく再現した作品もちょっとギリギリ狙いすぎではと思った。

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 「極端」の美学は各時代に発現してきたのは、最初のほうに並べられた、書籍によるヘアスタイルの歴史資料に明らかで、ロココの貴族たちも、20世紀のモードな人たちも頭のてっぺんにいろいろ積んでいる。そんなに重くて首は大丈夫なのか…… あとここにあのオマールエビはほしいよね。

 エルザ・スキャパレリも、シュルレアリスムとの関連では前回ポーラ美術館でも観たし( https://operaandarts.seesaa.net/article/202002article_8.html たしかここに掲載した写真のもの以外もあったはず)、まだ日本にもあるんじゃ……しかし「ショッキング」の瓶がメエ・ウエストのサイズのトルソというのはまたいい話が聞けた。そしてこれが先行としてあってこそゴルチエの瓶もあるんだろうな。
 スキャパレリの「イブニング・ケープ」という、「アポロンが馬車で天空を翔ける姿を、金糸やシークインを用いた刺繍で表現した豪華なケープ」がまたコテコテで、まさにどこかで『グリークス』上演があればつかってほしいレベルw

 裁縫のコーナーで、日本のシュルレアリストとして渡辺武「風化」(1939)がよかったな。「しかし、女性やミシンの足や台の一部は溶けるように崩れ、まさに風化が始まっているように見える」(解説)戦争が激化する中、明るい洋服を作ること/創作・芸術活動の不安がにじむ。

 あーあとカッサンドルが描いてた「ハーパース・バザー」のシュルレアリズム風味の表紙とか、カタログには全部は載ってないので現地でじっくり味わって。会場であれだけあるのにあとでカタログ見たらほとんどなかった……ダリの「ヴォーグ」もありました。

 撮影可の現代作品は靴。レディー・ガガが注目したという「ヒールレス・シューズ」の舘鼻則孝。ピンクのシューズとサンダー。

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 舘鼻則孝、銀色のとんがり沢山の作品は「太郎へのオマージュ」。

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 串野真也の、足元に鳥がそのまま生きていて人間をのっとりそうな靴たち。そして人馬の境界が溶ける永澤陽一「ジョッパーズパンツ《恐れと狂気》」。

串野真也 Hakuo.jpg串野真也 Soukei.jpg串野真也 Sphinx of the forest.jpgジョッパーズ.jpg


 素材の生成という意味で「奇想」な一作。ANOTHER FARM(スプツニ子!と串野真也のアートユニット)による作品 Modified Paradise(2018)。解説より。「クラゲや珊瑚の遺伝子を組み込むことで発光体となった蚕から生み出されたシルクが、伝統技術である西陣織によってドレスに仕立てられている。」入り口で黄色のセロファン貼られた紙メガネをもらうのだけど、それを通すと発光する模様が強く見える。
「閉じられた楽園の中で、倫理観という命題を抱えつつも遺伝子組換えを通して前進を続ける科学技術の行く末を、厳かに見通しているかのようである。」

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 おまけ。東京都庭園美術館の新館への通路のガラスが、光を通すと床にハートを生み出すようになっている。その先のカフェで「ショコラブラン柚子 フレーズとロマランの香り」をエンジョイ。

ハート.jpgショコラブラン柚子 フレーズとロマランの香り.jpg

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