「いつもとなりにいるから 日本と韓国、アートの80年」@横浜美術館(2026年3月3日)

 「ゆたかな歴史を育んできた日韓両国のアートを通して、たがいの姿や関係性を、あたらしく発見しようとするものです。」(チラシより)なるほど、いろいろな歴史が響いて作品ができていることがよくわかり、充実した展覧会だった。

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【Chapter 1 はざまに――在日コリアンの視点】
 最初の部屋は……というかほとんどの部屋は撮影禁止で、でもキャプションのみは撮影可能。少なくともどんな作品があったか思い出す手がかりにはなるので助かった。「日曜美術館 アートシーン」でも紹介していたけれど、曹良奎(チョ・ヤンギュ)「密閉せる倉庫」の圧迫感。二人の労働者のうちひとりはバストショット、もうひとりは首のみが描かれる。首だけ出して埋められて身動きができないような姿。その暗く重い画面はシケイロスとかメキシコ絵画にも通じる感じ。白い枠は倉庫の棚なんだろうけど牢だよね。「マンホール」はもはや人がいないのがこわい。太い縄のような、蛇のようなホースと、底知れぬ穴。ビエイト演出《ヴォツェック》の世界。

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 林典子「sawasawato」。在日朝鮮人の夫と結婚して海を渡った女性たちの写真集。林が撮っていった故郷の海の大きな写真の周りを歩きながら、帰れない場所の思い出を語るエピソードが印象的。そして会場にはずっと打ち返す波の映像と音が流れている。

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【Chapter 3 ひろがった道 日韓国交正常化以後】
 1977年「韓国現代美術の断面」展の出品作品群がやはりハイライトか。
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 李禹煥(リ ウファン)のこのふたつは何度も見ているけれど、同じ展覧会に出ていた作品と並べると、私には「自然」っぽさが増して見えた。尹亨根(ユン ヒョングン)の「青茶色」は不思議な閃光。沈文燮(シム ムンソプ)の彫刻は、直角の中にこれだけの渦が埋まっていたのを掘り出したのがすごい。
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 吉田克朗のシルクスクリーン作品の日常への異化効果は、1970年代に小学生だった私にはなんとなくなつかしい。
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 郭徳俊(クァク ドッチュン)「自画像78」銃創のようなひびが入ったガラス板に唇をを押し付けての顔のビデオ撮影。「透明」な板越しでもものは圧力でゆがむ。世界地図のムリヤリさを実感させる一枚も。
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【Chapter 4 あたらしい世代、あたらしい関係】
 村上隆の描く日本の不思議 -兵隊の道具入れにルーツを持つ「ランドセル」、米軍の戦闘機のオモチャ、プラモデルに子どもから大人までが熱狂する- はその通りすぎてびっくり。「TAMIYA」から「TAKASHI」へ。熱狂クリエイターの仕事は戦争と隣り合わせ。
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【Chapter 5 ともに生きる】
 ちらしにも写真が掲載された富山妙子の作品がおおいに引力あり、「光州のピエタ」など力強い。
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 「南太平洋の海底から」、深海魚が泳ぐ横にヘルメットかぶった白骨や日章旗が並べて置かれる。ダイニッポンテイコクのユーモラスな無効化。
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 二時間ではビデオ作品はまったくゆっくりは見られず。ナム・ジュン・パイク(Chapter 2 ナム・ジュン・パイクと日本のアーティスト))とか興味ある人は時間をたっぷり用意することおすすめ。最後にあった百瀬文/ イム・フンスン「交換日記」(30'55“)も田中功起「可傷的な歴史(ロードムービー)」(四面ムービー 24'03“/ 36'50“/ 39'10“/ 18'33“)も見られず残念。
 でも、とにかく美術作品だけでも十分行く価値あり!3月22日まで!

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